弊社は、ArF(フッ化アルゴン)フォトレジスト原料であるアダマンタン系誘導体を高純度かつ高い歩留まりで量産する技術を確立しました。溶媒として沸点の高いTHF(テトラヒドロフラン)に転換するなどで、ひとつの反応釜で合成するワンポット反応を可能にしたほか、基幹原料の酸クロライド(メタクリロイルクロライド、アクリロイルクロライド)の精製技術を確立。内外のレジストメーカーに向けてアダマンタン系誘導体の市場開拓を開始するとともに、酸クロライドの量産設備を建設し、幅広い電子材料原料として用途開発に乗り出します。

ArFレジストは液浸技術の開発もあって、次世代半導体製造プロセスに不可欠になるとして、レジストならびに原料モノマーの激しい開発競争が続いています。弊社は大手半導体メーカーの委託を受けて、三重研究所(三重県伊賀市)で研究に着手。原料にはアダマンタンを酸化した二‐アダマンタノンを調達してグリニャール反応で生産するが、これまでのプロセスで使用していた溶媒のDME(ジメチルエーテル)から高沸点かつ引火性に優れるTHFに転換することでプロセスの改善を進めてきました。

また、もうひとつの基幹原料であるメタクリロイルクロライドも精製技術の実用化によって、九九・四%程度の高純度のアダマンタルメタクリル系モノマーを、九〇%以上の歩留まりで合成しました。品質に加えて、コストでも既存プロセスから大幅に引き下げることに成功しました。